【デメリットはある?】リン酸鉄リチウムバッテリーのポータブル電源とは

こんにちは!

PSL中の人です。
このブログはポータブル電源の開発・販売に携わる仕事を数年していた経験をもとに、皆さんにポータブル電源の魅力を分かりやすく伝えていきます

最近ではキャンプ系YouTuberなどの影響もあり、「私もキャンプに挑戦してみたい」と考えている方も多いのではないかと思います。
中には近々にキャンプを計画していて、いろいろなキャンプ用品をチェックしているという方もいるでしょう。

安全で快適なキャンプライフを実現するためにキャンプ用品を揃えるのはとても大切なことですが、特に電源を確保することはキャンプの質を大幅に向上させてくれるポイントです。

ここでは、いくつかの種類があるポータブル電源の中でも、最近特に人気があるリン酸鉄リチウムイオンバッテリーについて、「その特徴やメリット・デメリット」を詳しく見ていきたいと思います。

目次

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーとは

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーという名称を聞いたことがないという方も多くいらっしゃるでしょう。
まずはリン酸鉄リチウムイオンバッテリーがどのようなものなのか説明していきます。

一次電池と二次電池

ポータブル電源に使用されているバッテリーには、ここで紹介するリチウムイオンバッテリーのほかに鉛バッテリー、ニッケル水素バッテリー、NAS(ナトリウム・硫黄)バッテリーなどがあります。

私たちが日常生活でよく使用する乾電池(マンガン電池やアルカリ電池)が使い切りであるのに対して、このようなバッテリー電池は充電することで何度も使用することができるのが大きな特徴です。
前者の使い切り電池を一次電池と呼ぶのに対して、充電可能な電池を二次電池と呼びます。

リチウムイオンバッテリーの仕組み

リチウムイオンバッテリーは、プラス極とマイナス極がセパレーターで分けられており、その間は電解液で満たされています。
充電時は充電器からの電流によってリチウムイオンがマイナス極に移動し、プラス極と電位差が生じることでエネルギーが貯まる仕組みです。

電気を使用する時は充電時とは逆に電流をマイナス極へ流します。
すると、充電によってマイナス極に貯まっていたリチウムイオンがプラス極へと移動し、その移動に伴って電流が発生します。
このイオンの移動によってエネルギーを生み出すというのがリチウムイオンバッテリーの大まかな仕組みです。

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーとは

一般的にリチウムイオンバッテリーと呼ばれているものにも、実はいくつかの種類があることをご存知でしょうか。
リチウムイオンバッテリーではプラス極にリチウムが使われていますが、その原料に違いがあるからです。
たとえば、リチウムイオンバッテリーの中で最初に実用化されたのはコバルトを原料としたリチウムであり、初期の携帯電話やモバイル機器に広く使われていました。
その後、より大容量であるニッケル系リチウム電池や安全性の高いマンガン系リチウム電池なども使われるようになりました。
そして、リン酸鉄を原料として作られたリチウムを使用しているのがリン酸鉄リチウムバッテリーです。
最近のキャンプ用ポータブル電源の多くはこのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用したものとなっています。

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーのメリット

では、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーのメリットはなんなのでしょうか。
細かく見ていきましょう。

安全性が非常に高い

皆さんの中には、スマホやモバイル機器のバッテリーが突然発火したというニュースを耳にしたことのある方も多いでしょう。
リチウムイオンバッテリーの中でもコバルトを原料としたものは熱に弱く、内部温度が80℃以上になると熱暴走のリスクが急激に高くなります。
熱暴走を起こしてしまうと安全装置が働かなくなり、バッテリー内部の温度がさらに上昇してしまうため、最悪の場合発火による火傷などの事故につながってしまうのです。

しかし、リン酸鉄はコバルトと比べると安定性が高く、たとえ数百℃といった高温になったとしても熱暴走を起こすことはありません。
リチウムイオンバッテリーの中でも非常に安全性が高い電池であると言えるでしょう。

電池寿命が長い

リチウムイオンバッテリーなどの二次電池は、充電を行うことで何度も繰り返し使えるのが大きな特徴です。
しかし、バッテリーは何度でも充電を繰り返すことができるわけではありません。
充電と放電を繰り返すことでバッテリーは少しずつ劣化していき、充電できる容量は減少してしまいます。
バッテリーの寿命は充電サイクルという数値を用いて表すのが一般的です。

1回の充電サイクルとはバッテリーを一度フルに充電することを意味し、コバルトやニッケル、マンガンなどの元素を原料とするリチウムイオンバッテリーの寿命は500~600回ほどとなっています。
一方、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーのサイクル回数は2,000~2,500回であり、電池寿命が非常に長くなっています。
バッテリー切れで商品を買い替える頻度も少なくて済むでしょう。

バッテリー単体での性能なので、ポータブル電源に搭載した際はもう少しバッテリーの寿命は短くなります。

自己放電しにくい

バッテリーは放置しているだけでも毎日少しずつ放電していて、これを自己放電と言います。
鉛蓄電池の1ヶ月の自己放電率はおよそ20%であり、フル充電した状態でも1ヶ月放置すれば80%まで減ってしまいます。
これに対して、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーの自己放電率はわずか1%に過ぎません。

ですから、一度重フル充電しておけば数ヶ月放置したままでも必要な時にすぐ使用することができます。
また、自己放電が少ないことで充電回数も減るので、バッテリーの劣化を防ぐことにもつながります。

温度変化に強い

バッテリーは温度の影響を受けやすく、特に低温環境での使用には注意が必要です。
氷点下で使用すると通常よりもバッテリーの減りが早くなりますし、本来の性能が発揮できずに最悪の場合は性能劣化を引き起こしてしまう可能性もあるからです。

しかし、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは比較的低温に強く、マイナス20℃という過酷な環境においても本来の性能を発揮することができます。

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーのデメリット

さまざまなメリットがある一方、もちろんデメリットも存在します。
見ていきましょう。

リチウムイオンバッテリーの中ではエネルギー密度が低い

リチウムイオンバッテリーはニッケル水素バッテリーなどほかの二次電池に比べるとエネルギー密度が高めです。
リチウムの元素番号は3で水素とヘリウムの次に軽く、金属では最も軽い物質であるため、ほかの金属を使った電池と比べると同じ大きさの電池の中に多量の原子を詰め込むことができるからです。

ただし、コバルト系やマンガン系のリチウムイオンバッテリーと比べるとリン酸鉄リチウムイオンバッテリーのエネルギー密度はそれほど高くはありません。

しかし、昨今ではリン酸鉄バッテリーのエネルギー密度も高くなり、より小型で大容量のリン酸鉄を使用したポータブル電源も普及してきました。

価格が高め

リン酸鉄自体は安価に入手することが可能ですが、リチウムイオン電池で使用するための加工コストが高いため、鉛バッテリーやNASバッテリーと比べると価格が高くなってしまうのもデメリットの一つでしょう。

まとめ

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーにはエネルギー密度の低さや価格といったデメリットも確かにありますが、そのデメリットを補って余りあるメリットもたくさんあります。

特に寿命の長さや安全性の高さといった観点で比較すると非常に優れたバッテリーだと言うことができるでしょう。
今後、よりリン酸鉄を使用したポータブル電源が普及してくることが予想されます。

本記事を参考に是非リン酸鉄リチウムイオンを搭載したポータブル電源も考えてみては如何でしょうか?

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